22年度30句競詠
(主宰選2位、総合選微妙な7位(~_~;))
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        上総の地

二階からおおと云ふ声遠花火

夏暁の砂場に残る潦

蛞蝓の迷へる道の光かな

外濠の水輪掠むる夏燕

規約書の文字の重なる猛暑かな

鷺草の羽根水平に開きたる

地下道に自転車を押す原爆忌

ネクタイを緩め乾杯の生ビール

向日葵に覗かれてゐる外厠

やゝ欠けて星に近づく夏の月


遮断機の向かうで揺るる凌霄花

子の部屋の貝風鈴のチリと鳴る

隧道を抜けた途端の蝉時雨

露草へ盥の水を流しけり

縁側の小さき枕盆の月

カップルに少し間延びの昼ちちろ

叩かれて売れ残りたる西瓜かな

透けて見ゆ蟷螂の目になりたれば

八月の満月近し高層群

竜胆の色の深さを畏れけり


洗顔の泡の飛び散る今朝の秋

酔芙蓉一花は闇に開くかな

夜の部の開演前の稲光り

朝顔の鉢に貝殻添へられて

星月夜清酒を提げて戻り来る

花野去る男小さく手を振りぬ

水桶に広がつてゐる山椒の実

上総の地赤き稲穂の揺れ渡る

橋脚の顕はになりし秋の風

売店に埴輪のレプリカ小鳥来る

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