結社30周年記念 50句競詠

  昨年、結社の30周年記念事業として行なわれた50句競詠大会に於いて、なんと一位入賞致しました。
日頃、掲示板の皆様方に良い刺激を頂き、触発されながら句作した結果だと思います。
ここに改めてお礼申し上げます。(硬くて舌を噛みそう(^^ゞ)  09.4.26

選者総評より
掘られたる木の根の匂ふ晩夏かな
星飛んで兄の好物思ひけり
嚔して一瞬月を見失ふ   


一句目、「晩夏」に千鈞の重み。二句目、しなやかな感性。一転して三句目のおかしみ。その他50句中に「遊んでいる句」がない
                              

                              春の星             

暮れ方の風より軽き雪柳

文机をあらかた占めて壺の梅

春疾風言葉奪つて行きにけり

雨激し傷つく前の落椿

春光や鴎の声の沸きあがる 

魚は氷にヘアリキッドの匂ふ朝

雛まつり土蔵の小窓開かるる

雛壇に這ひ這ひ人形飾られて

飾りたり女雛の髪を整へて

一人ゐて金魚の匂ふ真昼間

草刈つて玩具の戦車見つけたり

折鶴に息吹き込んで原爆忌

掘られたる木の根の匂ふ晩夏かな

新涼や撥ねに癖ある見舞状

秋の暮回覧板に一行詩

しばらくはコップに挿せり韮の花

穴まどひ厩の奥に抱人形

手術日の先勝とあり小鳥来る

当分は咲く気でありし悪茄子

曼珠沙華散らずに色を失ひぬ

馬術部の門扉閉ざされ虫集く

弓道の的に触れんと一葉落つ

空き瓶に釦とりどり小鳥来る

秋うらら園長さんが自転車で

手秤に狂ひの無くて鰯売る

湯豆腐や外人客の神妙に

秋の鵜の首を自在に伸ばしけり

星飛んで兄の好物思ひけり

遠吠えや小鍋で沸かす卵酒

祓はれて終に泣き出す七五三

飼猫を探す張り紙暮易し

参道に徳利売られ落葉かな

冬の川流れ行くもの影重し

すぐ傍にマンション見えて蓮根掘る

柚子湯して雨音近く聞く夜かな

夫の分残してありぬ煤払ひ

木枯しやハングル文字の絵馬鳴りぬ

参拝の列より外れ日向ぼこ

女正月笑ひ上戸となりたるよ

存分に時を流せし初湯かな

嚔して一瞬月を見失ふ

小走りで夫に追ひ付く寒月下

見舞はれて人参ジュースの澱みかな

冬晴や養蜂箱の積まれたる

飼猫に雪見せてゐる男かな

捨葱の青きが匂ふ直売所

初雪や雀遊んでゐたりけり

湯上りの顔の軽さよ春の星

故郷の言葉忘れて嫁菜飯

山茶花の咲いても咲いても散りにけり

                                                                                

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