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                                ゴンへ


捨て犬が家族となりし十二月

星凍る犬の睫毛も濡れてをり

老犬の頭に菖蒲巻いてやる

犬抱けば我より温し卯月かな

星月夜犬の包帯洗ひけり

もう一度抱きたき犬よ菊香る

犬の癖ふと思ひ出す余寒かな




自選句(04〜05)

夏兆すモネの睡蓮雲に浮く

手を触れていたき夜なり多佳子の忌

読み止しの本うつ伏せに六月尽

ひぐらしの鳴き止んでより闇となる

夕霧や出先で買ひし赤き傘

雪吊りも浅草なれば華やぎぬ

新玉の光を零す堰の水

年の瀬やその気にさせる啖呵売り

被災地に住みし女の頬被り

春の雪抱き合うている道祖神

和三本少し零れて花衣

ラジオよりハングル講座花は葉に

はつ夏の風より生るる吹き硝子

花の名を一つ挙ぐるに吾亦紅

虫集く回転木馬の記憶とも

仏の手に水掻きあるは愁意かな

雁行や先づは一羽の意のままに


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